"エベレストマラソン"はギネス記録にも認定される「世界最高所のフルマラソン」です。
世界最高峰エベレスト(標高8,848m)の初登頂記念日である毎年5月29日に、エベレストベースキャンプ(標高5,364m)よりスタートします。
世界中からマラソンランナー・登山愛好家が集まるビッグイベントですが、日本国内での認知度は低く、2024年大会終了時点でフルマラソン部門の過去日本人完走者は「累計19名」となっています。
これまでの挑戦者が少ない背景には、認知度のみならず「体力(山間部で42kmを走れる持久力や高地順応能力・経験)」や「期間(スタート地点へたどり着くまでの順応に要する)」などの多くのハードルが存在することがあげられるでしょう。
エベレスト街道トレッキング+マラソンという特別な体験
エベレストマラソンは単なるマラソン大会ではありません。世界中のトレッカーたちを魅了する「エベレスト街道」を登り、その終着地点であるエベレストベースキャンプがスタートとなるため、1度の旅で2つの目的を果たすことが可能です。
また、エベレスト登山に臨まない限り、通常は許可が下りずらい「エベレストベースキャンプでのテント泊」など、貴重な体験が含まれていることも特筆すべき点です。
この大会にはエクストリームウルトラ部門(70km)とハーフマラソン部門(21km)も設定されていますが、約200名のフルマラソン参加者に比べ、ウルトラとハーフはそれぞれ15名程度の参加者数となっています(2024年大会実績値)。
ハーフマラソン部門は3つの距離(70km、42km、21km)の中で、唯一スタート地点が1,000mほど低いディンボチェ(4,410m)です。そのためフルマラソンにエントリーし、スタート地点へ向かう途中で重い高山病を患った際などのセカンドプランとして活用される場合もあります。
何より重要な高地順化の能力
エベレストマラソンの優勝者は例年現地のネパール人です。中には国代表レベルの記録でロードのマラソンを走る外国籍参加者もいますが、このマラソンではロードの好記録がそのまま反映されないことも多くあります。
42kmの間、殆どが "不整地のランニング" という点も勿論そうですが「標高の高い場所で活動する能力(うまく順化できたかどうか)」が、より大きな影響を与えていると考えられるでしょう。
日本国内でも3,000m級の山々や低酸素トレーニングルームの活用など、事前の準備を工夫することはできますが、4,000mや5,000mの環境は模倣が困難なため「行ってみないとどうなるか分からない」というのが本質的で、難易度を高める一つの要因だといえます。
なお、大会公式記録には(抜け漏れが多く)DNSやDNFが表記されないことが分かっており、リザルトからは読み取りづらいですが「スタート前にトレッキングで体調を崩しヘリで下山したためDNSだった」等の実例もあります。「世界一スタートが難しいマラソン」とも呼ばれるのはそのためです。
長い日数といくつかの選択肢
先述の通り、エベレストマラソンの達成を困難としている一つの要因に「期間」があります。日本からはまずネパールの首都カトマンズに飛ぶ必要がありますが、そこからエベレスト街道の玄関口であるルクラ(標高2,740m)までの移動が1つ目の難関です(山間部の空港の為、数日飛行機が飛ばないということも多くあります)。
そういったリスケジュールへの対応を踏まえると3~4週間(推奨)、かなりタイトに予定をつめて2週間強の滞在が必須となりますので「必要期間の確保」や「長期間の山中の滞在」がハードルとなるでしょう。
なお、スタート地点のエベレストベースキャンプへ向かう選択肢は大きく2つです。
①大会チームのロッジプランへ参加
…ネパール国内の移動やトレッキング期間を大会チームと動きます。基本的には多国籍の混合チームとなるため、チーム内で英語でのコミュニケーションが必要となりますが、個人での手配に比べると比較的リーズナブルなプランです。
②個人でベースキャンプに集合
…現地旅行会社にて個人ガイド(やポーター)を手配するか、海外渡航や海外登山の経験が豊富な方はガイドを付けずに向かうという選択肢があります(国立公園のパス取得や宿の手配など、ややハードルは高くなります)。言語能力に不安がある場合は、事前に「日本語が堪能なガイド」を探すというのが有力なパターンですが、総額の費用はやや膨らむというデメリットがあります。
上記、①②の方法は、それぞれ一長一短ですので、予算や状況に合わせてチョイスすると良いでしょう。記載されている部分以外のメリットやデメリットについても、ご相談を承ることが可能です。
ここでしか出会えない素晴らしい景色や経験
困難な条件を乗り越えての達成は喜びもひとしおです。
大会時期はネパールの「梅雨入り前」となりますので、中々周囲の景色を拝めない日も続きますが、時折出会える晴天の大展望はきっと記憶に残る経験になるでしょう。
日本アウトドアトレーニング協会では、少しでも多くの方にこの貴重な経験へ挑戦いただけるよう、現地旅行会社(ヒマラヤンライオントレック社)との連携や、代表都築の出走・完走経験を活かし、出場に興味を持つ皆さまのサポートを行います。
具体的なサポート内容は以下の通りです。
- エベレストマラソンやヒマラヤトレッキングに関するご相談(無料)
- 現地旅行会社、日本語を話せるシェルパ(ガイド)のご紹介(紹介無料、ツアー参加には現地旅行会社提示の通常料金が発生します)
- マラソンに向けたトレーニングのご相談(相談無料、実際にトレーニングのサポートをご希望の場合には料金をお見積りします)
- その他、ご希望に応じて
ご相談は こちら よりお問合せください。