■ より自由で開放的な野外での運動
私たちが子供のころ、家の前の道路や近くの公園で思いっきり運動するのは当たり前の光景でした。時代の変化とともにそうした光景は減り、現在は屋内を中心とした限られた場所で「運動」するのが当たり前です。
アルバイト時代から正社員時代まで通算で10年間フィットネスクラブの開業や運営に携わりましたが、その「当たり前」を不思議に思うことは多くありませんでした。しかし職を転じ、別の角度から運動指導に携わるようになると、今までとても狭い視野の中で物事を考えてきたということを痛感することになります。フィットネスクラブには通っていないけど運動したい、痩せたい、目標を達成したい、という人がこんなにも沢山いて、その需要を満たす手段や知識を持ち合わせていないことに気が付いたのです。
国土技術研究センターによると、日本は「山が多く平地が少ない」「国土のおよそ3分の2が森林」とされています。趣味や仕事で日常的に山野に入らない人たちは、3分の1の面積の中の更に限定的な場所で活動していることになります。もちろん冒頭で述べた、家の前の道路や近くの公園で運動がみられなくなったことには、危険性や騒音など相応の理由があります。しかし、以前と同じ場所での運動が叶わなくとも、もっと広いフィールドが私たちの身の回りにはあって有効活用できるのではないかと考えています。
■ 需要を捉える広い能力向上ができる機会を
目線を指導者に変えると、別の事情で働く場所が限定されていることに気が付きました。運動指導を志し、資格を取得しても「仕事」が約束されてはいません。第一の選択肢としてフィットネスクラブなどを運営している事業会社に雇われるのを目指すことになります。そこで一定の顧客の支持を得ると、自身の店舗を開業するという選択肢が生まれます。ここで、この順序で話が進んでいく理由を考えると「そうしないと顧客がつかないから」というロジックにたどり着きます。
自身の好きな場所で、身に着けた能力を役立てていくには当然モノやサービスの売り買いを意味する「マーケティング」の能力が必要となってくるのです。残念ながら運動指導の現場では、より専門的な知識の習得が優先されるため、「サービスの売り方」までは深く言及してくれません。専門知識に加え、その他必要とされる周辺知識が容易に養える機会があれば、どんなに素晴らしいだろうと考え、本プロダクトの着想に至りました。
■ 異なる分野を組み合わせて生まれた価値
皆さんはクロスオーバーという言葉をご存じでしょうか。辞書を引くと「異なる分野の物事を組み合わせて新しい物事を作り出すこと」等と定義されています。
突然ですが私はたいしたトレーナーではありません。業界内では多くの民間資格が存在し「トレーナー」と自称してしまえば成立するため、その技術が高い・低いはとても曖昧です。もっと言ってしまえば「技術が高い=売れる」という方程式も成り立ちません。技術を突き詰めた専門家からみたときに"不十分な能力"で多くの収入を得ているトレーナーがいるのも事実です。
しかし、これは一概に悪いことではなく、顧客の求める「価値」を満たすことができているために起こる現象です。「トレーナーは技術が高くなくてはいけない」というのは専門家のエゴですね。では、専門知識を置き去りにして、売る能力ばかりを高めれば良いかというと、そうでもありません。良いものを、適正な値段で、求めている人に売り、価値を届ける。理想論ですがこれを叶えることが本質的です。
話を戻しますが、私自身はトレーナー界で見れば、まだまだ若輩者で勉強不足というのが自己評価です。しかし、ある程度のトレーナー能力や経験値、野外スポーツの実績や経験値、ビジネスマン・マーケターとしての経験値までクロスさせると、あまり多くの競合が現れないとも思っています。これに加え、私が信頼し各部門の第一線で活躍する「専門家」が、本プロダクトに賛同しジョインしてくれました。このメンバーそれぞれの強みがクロスし生み出される価値は、我々の目指すところに対し、とても有効なプロダクトになると確信しています。
日本アウトドアトレーニング協会は皆様それぞれの「強み」をより輝かすことのできる、広い基盤となるプロダクトの普及を目指して参ります。今後とも変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
2020年1月
代表理事 都築 洋介