長い冬が明けて、心地よい季節がやってきました。新年度・新生活で、「これから登山を始めてみよう!」という方も多いはず。今回は「春山」で考えたい注意点と、おすすめの登山3選をご紹介します!
そもそも登山の世界で「春」ってどうなの?
2,000mを超えるような「高所」の登山では、春はまだまだ「残雪期」。融雪による雪崩の危険や、雪解け後の落石の危険など、決して入門編とは言えません。
一方で比較的「南」の地域や、1,000m程度の低山は新緑が美しく、これから夏に始まる本格登山への"登り始め"としてはうってつけのシーズンです。「今年は富士山に挑戦したい!」という方も、この時季からトレーニングを始めてみてはいかがでしょうか。
登山を行う地域や標高に配慮が必要な季節ですが、その他にも注意点があります。「春山」に潜む、いくつかのポイントを確認していきましょう。
春山の「い」、山にはもちろん大量の花粉が。運動中は感じなくても要注意
春は新緑がとても美しい季節!いっぽうで花粉症を患っている方は、この時期に森林に入るだけでも目眩がするかもしれません…。もちろん花粉の発生源に近づく訳ですから、症状は強く出てしまうでしょう。
怖いのが、運動中は交感神経が優位となり、花粉症症状が感じづらく「ノーガード」になってしまうこと。サングラスやメガネ、マスク、ネックゲイターなどを活用し、少しでも花粉の吸引を防ぐ対策をしてください。運動後にすぐに着替えたり、シャワーを浴びたりも効果的です!
春山の「ろ」、冬山に入る方も身体への刺激に変化が。油断せずに「漸進」を
これから登山を始める方はもちろん、冬山に入っていた方も、気温の上昇や、使う筋肉に違いがあることから、体力に過信せず「少しずつ」強度を高めていくといいでしょう。
冬山と同じ感覚で山に入ると「持っている水が足りない」や「いつもより疲労感が大きい」などの思わぬアクシデントも。まずは歩行時間の短い簡単な山から始めて、徐々に身体を慣らしていきましょう。
春山の「は」、梅雨の到来と山ビルに注意
2023年現在、梅雨の到来は年々遅くなってきており、6月下旬ごろの梅雨入りも珍しくありません。春の山行計画は遅くとも6月初旬くらいまでに立てたいものです。
この頃、地域によっては「山ビル」が活発化する場所も。せっかくの気持ちいい山行で、雨や危険生物にはなるべく出会いたくありません。向かうエリアでの発生状況など、情報収集を怠らないようにしてください。
春におすすめの登山3選!
さて、ここまでは主に春山での「注意点」をあげてきましたが、ポイントを押さえれば美しい景色に出会える素晴らしい季節。ここでは「春におすすめしたい登山3選」をご紹介します!
① 鹿児島県の百名山二座
韓国岳 1,700m(鹿児島県)
開聞岳 924m(鹿児島県)
鹿児島の誇る霧島山の最高峰「韓国岳」と、本州最南端の百名山「開聞岳」は、比較的早い時季から雪が消え、登頂を目指せる日本百名山です(韓国岳は標高が高いため、最新情報に注意してください)。
「春も百名山に登りたい!」という方は、遠征も含め、検討してみてはいかがでしょうか?2月~5月は開聞岳に近い"枕崎のかつお"も旬の時季です!
②山頂に桜の大木、埼玉でお花見登山
棒ノ嶺 969m(埼玉県)
お花見登山と言えば!の一座といっても過言ではない埼玉県の棒ノ嶺。平地では桜が散ってしまう4月中旬~下旬に見ごろを迎えるため、お花見に乗り遅れてしまった方にピッタリです。
登山道には巨石が存在感を放つ渓谷もあり、見どころの多い楽しい登山となるでしょう。
③まるで物語の世界、伊豆の名峰でアセビのトンネルを潜る
天城山 1,406m(静岡県)
「天城越え」で有名な伊豆の名峰のメインシーズンは春。最高峰の万三郎岳は日本百名山の一座に数えられます。
麓は早咲きで有名な河津桜から、山中では有名な馬酔木(アセビ)のトンネル、晩春にはその名を冠する「アマギシャクナゲ」が楽しめる花の山です。
さぁ、登山シーズンを楽しもう
さて、今回ご紹介した「おすすめ登山」はいかがでしたでしょうか。前半お伝えした「注意点」は"春"に限らず、「夏」「秋」「冬」とそれぞれで留意すべき事項がございます。
それぞれの季節に適したコースやエリアを選定することはとても大切です!ぜひ今後の計画の参考にしてみてください。