日本アウトドアトレーニング協会の資格「JOTA-OMT」を取得し、トレーニング指導の現場で活躍をされている堀越さん。指導のコンセプトや、アウトドアへの想いをインタビューしました。
まずは「運動を始めてもらうこと」が大切
―よろしくお願いします!まずは堀越さんのことを教えてください。
堀越さん
よろしくお願いいたします!普段はパーソナルトレーナーと、オンライン上でのフィットネスインストラクターをしています。パーソナルトレーナーというと、見た目を変化させる「ボディメイク」の印象が強いと思いますが、私は運動の”ゼロイチ”を掲げていて、もっともっと簡単なものを提供したいと思っています。0から1は勿論、1が0になってしまって、運動に対して諦めがある方にも、運動を習慣化してもらえるよう取り組んでいます!
―運動は習慣化が大切ですが、簡単ではありませんね。何か工夫されていることがあるんでしょうか?
堀越さん
今まではフリーランスとしてスポーツクラブに所属して、レッスンやトレーニング指導をしていました。しかし、コロナ禍をきっかけに、私がお客様のご自宅に伺ったり、レンタルジムを借りてのトレーニングという形にシフトをしたんです。ジムを契約する場合も、できるだけその方の最寄り駅で実施することでの「通いやすさ」にフォーカスしています。
単純にコロナ禍でのスポーツクラブ休業も重なったのですが、クラブでは基本「待ち」の営業スタイルになります。その場合、多くいらっしゃるのは「既に運動が好きな方」や「昔、運動をしていました」という方々。私の目標が運動自体を広めることだったので「運動できるか不安」だとか「トレーニングをしたことはあるけど挫折してしまった」とか。そういう方々に何かサービスを展開したいなと思い決断をしました。
―コロナ禍はサービス業者には試練でしたが、そのタイミングをうまく転換期にされたのですね!私たちの講習会にお越しいただいたのも、ちょうどその頃でした。
堀越さん
そうですね。今はもう当たり前ですが、当時はいわゆるソーシャルディスタンス。「密を避けよう」や「マスクをしよう」が一番厳しい頃で、密にもならず、空気も綺麗なアウトドアの環境はとても良かったです!
同じくコロナ禍をきっかけに機転を利かしたのが「オンラインフィットネス」なのですが、やはりそれだけになってしまうと、オンライン上って「電波的なもの」や「慣れない画面」でフラストレーションが溜まりますよね。そこで自然の力をお借りしてリフレッシュすることで、精神的な健康を得て。さらに運動をかけ合わせることで身体的な健康を得られるといいなと。
講習会で資格を得たことで「息抜きに山に行きましょう」を言えるようになりました。野外での運動は気を付けなければいけないポイントもありますし、山に入るとなると様々な危険や不安もあります。そこでちゃんと「メニュー」を持っていることは、信憑性があり「強いな」と思っています。ジムでの運動が嫌いな方の一つの選択肢にもなりますし、それをきっかけに「また先生のトレーニングを受けたいです」となることもあります。
―オンラインはとても便利で、受講する場所も選ばないのでサービスの幅も広がりますよね。「オンラインの普及」と「アウトドアでの運動」は、一見対極にあるように見えますが、そこをうまくコラボレーションできているんですね!
堀越さん
オンラインでもアウトドアでも、まずは「運動を始めてもらうこと」が大切で、様々な選択肢を持つことで、もっと運動を簡単にできればと思っています。オンラインでは仰る通り、日本全国から。場合によっては海外からの問い合わせもあります。コロナ禍前は、私のトレーニングを受けていただくことは東京都内でしか難しかったので、間違いなく幅は広がりました!より多くの方に影響したいという目標に近づいたと思います。
アウトドアでの運動も、山登りに限らず公園まで歩きますとか。公園まで歩いた後、珈琲一杯飲もう、読書をしようとか。トレーニングを受けてくださるお客様にはただ「健康になりたい」という方も多いので、その場合は山に登るにしても「山頂を目指さなくてもいい」とも思っています。私自身がそういうタイプなのですが、「行けるところまで行って帰ってくればいいよね」というくらいの気軽さで始めてほしいです。
何か新しいことを始めるためのターニングポイント
―次は堀越さんの「アウトドアへの想い」を聞かせてください。
堀越さん
私は東京育ちなのですが、今は逗子に住んでいます。逗子もマリンアクティビティをしたい訳ではなく、ただ海や山が傍にあれば良くて…。とにかく自然に触れていたい人ですね。東京育ちの”あるある”なんですが、意外と夜遊びもしないですし、人が多いのもあんまり好きじゃなくて(笑)。オフに自然に行くと、自分が凄くリフレッシュされて帰ってくるというのがずっとあったので移住してしまいました。
珍しいと思うのですが、私は登山でも山頂を目指さなくてもいいんです。ただ中腹辺りで、お昼を食べて帰ってくるでもいい。もちろん「登頂したい」も一つで、自分にとっての心地よさはどこなのか。私にとっての自然は深呼吸して「またこうしよう」とか「次の仕事の展開はどうしよう」とか。何か新しいことを始めるためのターニングポイントにすることが多いです。リフレッシュだけではなくて、行き詰っているものを切り替えたい時、次のステージに進みたい時、気がついたら自然に向かっています!
―東京育ちの私たちにとっては、自然が多いだけで非日常で有難いですよね。お客様もそれを感じて、運動を始める、続けるきっかけになればこの上ありません。
堀越さん
登山をしていると特に感じますが「今はちょっとキツイけど、もう一歩頑張れば乗り越えられる」というのを実感しやすく、正に『トレーニング』です。その人の挑戦の幅を広げることに寄与すると感じます。
登りは80~90%はキツイ時間ですし、下りも転ばないように・挫かないように気をつかうので疲れます。その後に少し至福な時間があって、この起伏が人を強くしますよね。自身を知るきっかけにもなる。登山や自然という場は、そのフィードバックをくれるので自分らしさを再発見できる場かな…と。そこは大事にしたい、伝えたい点です。
―「アウトドアトレーニング」の定義の一つでもあるのですが、その登山自体が良いトレーニングとなっている、という考え方に通じますね!
堀越さん
トレーニングって、けっきょく「動き」じゃないですか。山や階段の「登り方」とか「下り方」とか。それこそ講習会で教えてくださっている「こう動くと股関節を使って、お尻や腿裏が活動しやすい」「こうすると怪我のリスク・膝の痛みを抑えられる」とか。
やはりその部分をトレーニングでやると、お客様からジムだけじゃなく日常生活の歩き方、階段の登り方で変化を感じてもらえる。「鍛えると変化があるな!」と感じていただけるので、ものすごく教えやすくなります。一番大事なのって毎日何を意識するべきかという「自分自身での運動習慣」だと思っていて、その気づきも与えやすいですね。
―お客様が運動を続ける一助になっていれば嬉しいです!最後に、今後叶えたいことや、目指したいことがあれば教えてください。
堀越さん
今はマンツーマンで運動指導や野外への帯同をしていることが多いので、今後はご家族などのグループへ、野外での運動を提供する機会にもチャレンジしていきたいと思っています。やはり少なくとも2~3時間一緒に歩くため、より親密になれる時間で、大きな可能性があると思っています。
また「運動」であることは勿論、自然のパワーを借りれるようなプランを提供していきたいですね。自然の力を8割くらいお借りして、あとは僕がただ一緒にいるみたいな(笑)。ここまでお話しさせていただいたのですが、自然には「悩んでいることを吐き出す場」や「停滞期の脱出」「やる気を増す場」のような側面があるので、単なるトレーニングではなく良い時間にしたいと考えています。
それをきっかけに自然を好きになってくれる。「楽しかった」と言ってもらえる機会を創出していきます!
―本日は貴重なお話をありがとうございました!
◆トレーナープロフィール
堀越 竜馬
1988年生まれ。アウトドアマウンテントレーナー。
東京都内とオンラインを拠点に、多くの方へ個別指導を提供し、「運動を始めたい方」をサポートしている。
公式LINE:https://lin.ee/R3FpzPl