マラソン大会に向けた効果的な練習方法である「距離走」
長い距離を走ることにおいて、最適な練習方法はまさに「長い距離を走る」ことです。LSDとは〔Long Slow Distance〕の略で、その名の通り「長く」「ゆっくり」「距離」を走ることを指します。
走るスピードは優先度が高くなく、とにかく「その距離を走ったことがある」という経験値を積むことを目的として行われます。マラソン大会での自己ベスト更新を狙う方は、複数回重ねていく中で目標タイムを決め、タイムトライアル走の要素を追加するのも良いかもしれません。
「距離走」を楽しむ為に、静岡県の観光地を巡ろう
日本アウトドアトレーニング協会では、長時間のトレーニングとなる「距離走」を楽しむ為に、いくつかの観光地を目印(ランドマーク)に設定し、その目的地を辿る「観光LSD」を提唱しています。その定義は以下の通りです。
- コース途中にいくつかのランドマークを設ける
- 6kmに一回程度、休憩時間を設ける
- ゆっくり走ることを意識し、距離は15km~40km程度である
コースの設定時には休憩のとれるコンビニエンスストアの有無や、離脱ができる駅の有無なども鑑みると良いでしょう。今回は東海バスの松崎バス停をスタートし、西伊豆を代表する観光地を巡りながら土肥温泉バス停に至る約25kmの道のりをご紹介します(記事の下部に参考マップがございます)。ご自身のトレーニングの参考に是非ご覧ください。
松崎バス停~堂ヶ島~田子南交差点
東海バスの松崎バス停を降り、土肥温泉に繋がる136号線を北上していきます。この松崎バス停付近にはコンビニエンスストアが多くありますが、堂ヶ島を過ぎると補給ポイントが減ってくるため注意が必要です。スタートして直ぐに現れる堂ヶ島は洞窟めぐりが有名ですが、ランニングコースとなる海岸線からの景色も目を楽しませてくれます。
堂ヶ島の桟橋を過ぎると、そこから緩やかな長い上り坂です。このコースは数kmに及ぶ大きなアップダウンが数回あるため、気持ちの準備をして上り坂に挑みましょう。暫くすると田子漁港へ向かう「田子南」交差点へたどり着きます。ここで一度大通りを外れ、進路を田子漁港へ変え、小道を下っていきます。
田子南交差点~田子漁港~黄金崎
小さなトンネルを抜け田子の集落へ出たら、郵便局のわきを通り漁港の広場へ出ると良いでしょう。この広場には公衆トイレがあり、この集落内にコンビニエンスストアはないものの、スーパーや商店がありますので補給も行えます。
漁港へ下りた分、上り返しがありますがバス通りを用いて再び大通りへ戻ります。136号線で北上を続けると大小4本のトンネルを抜けた先で黄金崎へたどり着きます。本コースは25km「弱」となるため、ここで黄金崎公園まで足を延ばし、景色を楽しむのも良いかもしれません(トンネル内には脇道がありますが、距離が長いトンネルは暗く、柵がないため慎重に通過しましょう)。
黄金崎~恋人岬~土肥温泉
黄金崎を過ぎると宇久須の集落です。この辺りにはコンビニエンスストアがありますので、必ず補給を行うようにしてください。この後に、コース最大のアップダウンとなる上り坂が待ち受けています。宇久須から長いトンネルを一つ抜けると、恋人岬に向けた峠越えが始まります。自身のペースを守りながら、一歩一歩坂を攻略していきましょう。
この坂を上りきると観光名所の恋人岬です。周辺にあるバス停や達磨寺、高所から眺める気持ち良い海岸線の景色などで疲れを癒してください。頑張って上ってきた分、ここからは緩やかな長い下り坂です。重心移動や足裏の接地面に気を使い、筋に負担をかけすぎないよう下っていきましょう。
坂を下りきると八木沢の集落に着きます。目的地の土肥温泉まであと少しですが、最後の補給ポイントに最適です。駿河湾フェリーの土肥港の手前で緩やかな峠があと一つありますが、ラストスパートで乗り越えましょう。最後は土肥の温泉街を通り、「世界一の花時計」がシンボルの松原公園(※)がゴールです。
※現地まで自家用車でアクセスする場合、松原公園の駐車場に車を停め、すぐ近くの土井温泉バス停から松崎へ向かうのがお勧めです。
静岡の観光地を巡る、楽しく効果的なLSDを!
さて、今回ご紹介したコースはいかがでしたでしょうか。記事途中にも記しましたが、補給ポイントがしばらくない区間も通るため、事前に営業状況なども確認し走るようにしてください。海沿いですが峠越えを数回繰り返す、走りごたえのあるコースです。体力的につらい中気持ちを休めてくれる景色、観光地での休憩を助けとして、完走を目指しましょう。
コースの殆どがバス路線沿いとなるため、途中で離脱する場合に備え、往復分のバス料金を事前に準備をしておくと良いでしょう。ランニング後はゴール付近の温泉や、駿河湾の海の幸も楽しんでください。通過する観光地では混雑状況を鑑み、歩いて通過するなどの配慮も必要です。ルールやマナーを守り、良いトレーニングを行ってください!