マラソン大会に向けた効果的な練習方法である「距離走」
長い距離を走ることにおいて、最適な練習方法はまさに「長い距離を走る」ことです。LSDとは〔Long Slow Distance〕の略で、その名の通り「長く」「ゆっくり」「距離」を走ることを指します。
走るスピードは優先度が高くなく、とにかく「その距離を走ったことがある」という経験値を積むことを目的として行われます。マラソン大会での自己ベスト更新を狙う方は、複数回重ねていく中で目標タイムを決め、タイムトライアル走の要素を追加するのも良いかもしれません。
「距離走」を楽しむ為に、千葉県の観光地を巡ろう
日本アウトドアトレーニング協会では、長時間のトレーニングとなる「距離走」を楽しむ為に、いくつかの観光地を目印(ランドマーク)に設定し、その目的地を辿る「観光LSD」を提唱しています。その定義は以下の通りです。
- コース途中にいくつかのランドマークを設ける
- 6kmに一回程度、休憩時間を設ける
- ゆっくり走ることを意識し、距離は15km~40km程度である
コースの設定時には休憩のとれるコンビニエンスストアの有無や、離脱ができる駅の有無なども鑑みると良いでしょう。今回はJR内房線の富浦駅をスタートし、南房総を代表する観光地を巡りながらJR館山駅に至る約25kmの道のりをご紹介します(記事の下部に参考マップがございます)。ご自身のトレーニングの参考に是非ご覧ください。
JR富浦駅~大房岬 海岸園地~内房なぎさライン
JR内房線の富浦駅駅前ロータリーから富浦駅交差点へ直進し「内房なぎさライン」へ出ます。本コースは同じ内房線の館山駅がゴールとなるため、自動車で現地へ向かう場合は先に館山駅付近の駐車場に車を停め、電車で富浦駅へ向かうと良いかもしれません。
内房なぎさラインを原岡海岸の終わりまで南進すると橋で小さな川を渡ります。渡った直後に二股の分岐がありますので、右折し国道を外れてください。この付近のコンビニエンスストアを最後に10km近く補給ポイントがないため、充分な水分量を確保し先に進んでください。
道なりに進むと一つ目のランドマークである大房岬へたどり着きます。このコースで2度訪れる「急な登り坂」の1度目がこの大房岬の手前です。呼吸を整えながら自身のペースで登り切りましょう。芝生と海、切り立った岩肌の美しい海岸園地まで園内を進み、景色を楽しんでください。体力に余裕があれば園内の「頂上」付近に在る展望塔に登るのも良いかもしれません。
帰りは行きに通った「急な登り坂」の頂上地点に脇道がありますので、大通りを直進せずに右にそれます。小道を抜けていくとスタートから走った「内房なぎさライン」に戻ることができます。
崖観音~船形~鏡ヶ浦通り
内房なぎさラインを南進するとすぐ左側に圧巻の「崖観音」が現れます。ここは是非体力を振り絞って階段を上り、これから向かう先の景色を楽しんでください。先ほどの展望台や、この後出てくる観光地もそうですが、ランドマークでの上り下りが多いコースでもありますので、距離以上の良いトレーニングとなるでしょう。
崖観音からは大通りをはずれ、より「海沿い」の道を進むのがお勧めです。どの道を通っても構いませんが船形交差点を目指し、鏡ケ浦通りに入るようにしましょう。しばらく海岸線を南進し、北条海岸を超えると次の目的地となる館山夕日桟橋はもうすぐです。
館山夕日桟橋・館山港~館山基地
館山夕日桟橋はランニングで先端までの距離を走ることができます。このコースの25kmには桟橋の距離も含めていますので、ショートカットせずに海上のランニングを楽しんでください。そこからは館山港沿いに再び鏡ケ浦通りを進み、自衛隊前交差点まで進んでいきます。この先、再度コンビニエンスストアなどがない区間となりますので、補給を忘れずに行いましょう。
館山富士見~沖ノ島~城山公園
館山航空基地の正門を横目に、自衛隊敷地の「周り」を海沿いに走ります。「館山富士見のあずまや」を過ぎ、突き当りまで直進すると、左手に沖ノ島が見えてきます。海水浴場を渡り、沖ノ島公園についたら折り返し。再び自衛隊前の交差点まで戻りましょう。
今度は自衛隊前の交差点を通過し、宮城の交差点から房総フラワーライン(257号線)に入ります。275号線を市内方面へしばらく進むと、このコース最後のランドマークである「館山城」の城山公園です。
館山城~汐入川~JR館山駅
このコースで訪れる「急な登り坂」の2度目は、実はここ。館山城は城山公園の山頂に位置するため、麓から山頂までのきつく長い登り坂が始まります。ここが最後の頑張りどころですので、美しい景色をモチベーションに登り切りましょう。
山頂は「関東の富士見100景」に選ばれる絶景で、この日走ってきた大房岬から、夕日桟橋、沖ノ島とコースの殆どを望むことができます。山頂で英気を養った後は、元の257号線へ戻り下町の交差点へ出ましょう。ここも直進すると汐留橋で汐入川を渡ります。北条の交差点を左に曲がり、次の小道を右折するとJR館山駅が見えてきます。最後は線路と駅前ロータリーを眺めながらゴールです。
千葉の観光地を巡る、楽しく効果的なLSDを!
さて、今回ご紹介したコースはいかがでしたでしょうか。記事途中にも記しましたが、補給ポイントがしばらくない区間も通るため、事前に営業状況なども確認し走るようにしてください。25kmのコースですが、時折訪れるアップダウンやランドマークの多さで、充実感のあるランニングとなるのではないでしょうか。普段は旅行で訪れるスポットを連続で楽しみながら、結果「トレーニングとなっている」状況が作れれば、とても有意義な日となりますね。
公園内や社へ至る階段、桟橋、海岸などは時期や時間帯によって、混雑する場合もございます。歩行者へ充分配慮し、場合によってはランニングではなく歩いて通過することも検討するようにしてください。状況に応じて適切な判断をし、楽しい長距離走を行いましょう。