マラソン大会に向けた効果的な練習方法である「距離走」
長い距離を走ることにおいて、最適な練習方法はまさに「長い距離を走る」ことです。LSDとは〔Long Slow Distance〕の略で、その名の通り「長く」「ゆっくり」「距離」を走ることを指します。
走るスピードは優先度が高くなく、とにかく「その距離を走ったことがある」という経験値を積むことを目的として行われます。マラソン大会での自己ベスト更新を狙う方は、複数回重ねていく中で目標タイムを決め、タイムトライアル走の要素を追加するのも良いかもしれません。
「距離走」を楽しむ為に、山手線を一周しよう!
日本アウトドアトレーニング協会では、長時間のトレーニングとなる「距離走」を楽しむ為に、いくつかの観光地を目印(ランドマーク)に設定し、その目的地を辿る「観光LSD」を提唱しています。その定義は以下の通りです。
- コース途中にいくつかのランドマークを設ける
- 6kmに一回程度、休憩時間を設ける
- ゆっくり走ることを意識し、距離は15km~40km程度である
コースの設定時には休憩のとれるコンビニエンスストアの有無や、離脱ができる駅の有無なども鑑みると良いでしょう。今回は一周することでフルマラソン(上記定義の上限いっぱい)距離をとることができる「山手線一周」を紹介いたします(記事の下部に参考マップがございます)。東京駅をスタートし反時計回りに全30駅を巡ります。ご自身のトレーニングの参考に是非ご覧ください。
東京~上野~巣鴨
1.神田-2.秋葉原-3.御徒町-4.上野-5.鶯谷-6.日暮里-7.西日暮里-8.田端.-9.駒込-10.巣鴨
はじめの10kmは駅間の距離が比較的短く10駅を進みます。東京駅の丸の内駅前広場より北進し、線路沿いから高架下を潜り神田駅へ至ります。その後山手線外回り側の脇道を走り、高架下に位置する「神田ふれあい橋」で秋葉原駅前へと向かいましょう。御徒町へは線路沿いで進めばどの道を用いても良いですが、御徒町-上野間は是非内回り側へ移動し「アメ横」を通ってください。
そのまま内回り側の線路沿い(上野公園との間)の坂をのぼり、新坂を右折すると鶯谷駅南口です。ここで線路の上を橋で渡りますので、行きかう電車を眺めて一休みするのも良いでしょう(坂を下ったところに数件コンビニエンスストアもございます)。鶯谷駅下の交差点を左折し一度線路から離れます。鶯谷駅前を右折、根岸小前を左折し日暮里駅へ向かいましょう。
日暮里駅からは内回り側へ再度移動し、諏訪台通りで西日暮里駅へ至ります。近くに谷中銀座商店街があるため、立ち寄るのもおすすめです。西日暮里から田端駅へは田端台公園を経て南口(ある映画で話題になったスポットです)へ。田端駅から駒込駅間では京浜東北線と線路が"分岐"をしますので、ここも必ず内回り側を通り、道に迷わないよう気を付けてください。
この田端駅・駒込駅間に「山手線唯一」の踏切があります。隠れた観光スポットですので見逃さないようにご注意ください。駒込駅から巣鴨駅へは、一度線路沿いをそれますが直ぐに戻ることができます。巣鴨駅でスタートから約10kmとなりますので、有名な巣鴨地蔵通商店街などがある巣鴨駅は休憩場所にはうってつけです。
巣鴨~池袋~新宿
11.大塚-12.池袋-13.目白-14.高田馬場-15.新大久保-16.新宿
さて、次の10kmは線路から道が離れることが多く、5~6駅しか進みません。巣鴨駅から大塚駅は最初線路沿いを進みますが、途中から道がなくなるため、内回り側の住宅街を抜けて大塚駅に至りましょう。大塚駅からは春日通りへ出て池袋方面へ、首都高速の高架下で明治通りに入り池袋駅東口へ至ります。
池袋駅からずっと明治通り沿いを進み、千登世橋下の交差点で右折すると目白通りです。しばらく進み目白駅を経たら、ここから外回り側で線路沿いへ戻ることができます。高田馬場駅手前で一瞬線路沿いを外れますが、1~2本脇道を通るだけなので安心してください。同じく外回り側の脇道を選択し線路沿いを進むと、途中高架下を潜る諏訪通りへ至ります。高架を潜ってすぐに内回り側の脇道へ入ると、そのまま新大久保駅、新宿駅へは一本道です。
新宿~渋谷~目黒
17.代々木-18.原宿-19.渋谷-20.恵比寿-21.目黒
新宿からは後半戦となりますので、お店が豊富なこの辺りで昼食をとるのも良いかもしれません(30駅へそれぞれ立ち寄るLSDのため時間はある程度かかります)。この10kmも駅間の距離が長く、進む駅数は少なめです。線路沿いというよりかは大通りを進む印象が強い区間となります。
新宿駅は東口から東南口へ進み、明治通りに合流したところで直ぐに右折、代々木駅前に向かいます。代々木駅のJR東口からJR西口へ高架を潜り、すぐに左折し商店街に入りましょう。明治通りへ戻ったら千駄ヶ谷小学校の交差点まで進み、右折で原宿駅前に向かいます。原宿駅を右手に坂をのぼり、神宮橋の交差点を左折すると再度明治通りです。
明治通りを進み神宮前六丁目の交差点を右折、高架を潜り直進すると渋谷駅前のスクランブル交差点です。渋谷駅からはヒカリエ、スクランブルスクウェア、ストリームをつなぐ歩道橋を活用し明治通りに戻ります。渋谷橋交差点まで通り沿いに進んだら、右折で恵比寿駅前に入りましょう。高架を潜った先にあるロータリーの斜向かいにある"外回り側の急な坂"をのぼり、恵比寿ガーデンプレイス方面を目指します。そのまま橋は渡らずに目黒三田通りを南進すると目黒駅へ至ります。
目黒~高輪ゲートウェイ~東京
22.五反田-23.大崎-24.品川-25.高輪ゲートウェイ-26.田町-27.浜松町-28.新橋-29.有楽町-30.東京
最後の10kmでは怒涛の九駅を網羅します。この区間でも線路沿いを外れることが多いため、よく道を確認しながら進みましょう。目黒駅からは行人坂をくだり目黒川沿いで五反田へ向かいます。五反田駅から元の川沿いに戻るには、ソニー通りで一度高架を内回り側へ潜り、最初の路地を右折して五反田ふれあい水辺広場に出ましょう。山本橋を渡り道なりに進むと大崎駅へ至ります。
大崎駅・品川駅間が一番迷いやすい場所です。大崎駅から山手通りで目黒川を渡ったら、細い坂道を上がりソニー通りを目指します(山手通り沿いに進まないようご注意ください)。ソニー通りと合流する第一京浜を進むと品川駅の高輪口です。そのまま第一京浜を進み、高輪二丁目交差点を右折すれば、2020年に「30駅目」としてオープンした高輪ゲートウェイ駅に到着します。
新橋駅までの3駅(田町駅・浜松町・新橋駅)は、駅前だけ大通りから外れるものの基本的には第一京浜を進みます。新橋駅からは内回り側の線路沿いを選び有楽町駅、東京駅と道を進めていきましょう。ゴールまでラストスパートです。ゴール直前に42kmを超えるため、最後はクールダウンで丸の内駅前広場へ向かいます。
山手線の全30駅を巡り、楽しく効果的なLSDを!
さて、今回ご紹介したコースはいかがでしたでしょうか。初めてのフルマラソンに向け「一度本番距離を経験しておきたい」場合には、一周するという明確な目標がありおすすめです。立ち寄るランドマークが全て「駅」ですので、体調などに応じて途中離脱を検討しやすいのもメリットだといえるでしょう。
普段は電車で通り過ぎてしまう街並みを走ることで、都内の位置関係が頭の中で繋がっていく楽しさがあります。コースが長いため、スマートフォンなどで随時道を確認しながら進むのがおすすめですが、是非道を覚えるつもりでゴールを目指してください。本記事では駅以外にもいくつかのスポットをお伝えしましたが、発想次第で様々なバリエーションが検討できるコースです。是非、自分なりの「山手線一周コース」を模索してみてください。