今回は練習方法や日々のトレーニングについて考える機会が多く、場合によっては他者にアドバイスを送ることのあるコアランナーやランニングコーチが、見落としがちな「トレーニングの原則」について解説していきます。
トレーニングの三原理五原則
ドイツの学者であるヴィルヘルム・ルーが提唱した「ルーの法則」をもとにした「トレーニングの三原理五原則」と呼ばれるものがあります。
ランナーがよく用いる「練習」という言葉は、トレーニングという単語を直訳した意味の一つのため、この原理・原則が当てはまることが自ずと多くなると考えられるでしょう。
個別性の原則
まず見落としがちな原則の一つ目は「個別性」です。
トレーニングは対象となる者に対して、その目的や種類、強度を変更しなければ効果が期待できないという原則
経験豊富なランナーだからこそ、「Aさん」に効果があったから「Bさん」にも、と考えがちなもの。グループでのランニングは全員にとって効果的ではないことを鑑みて実施するべきでしょう。
漸進性の原則
見落としがちな原則の二つ目は「漸進性(ぜんしんせい)」です。
トレーニングを継続して行う際、徐々に強度を増やしていくべきだという原則
先に述べた個別性と合わせて考えると、今の体力レベルに対して強度や頻度は高すぎないか?という点を常々考えなければなりません。特に頻度の調整は見落としがちですので、オーバーユース症候群の発症にはよく注意しましょう。
2015年に大手ランニングサイトが約12,000人に対して実施した調査では実に70%以上のランナーが、過去に身体に痛みを感じたことがあると回答しています。
※出典:ランナー世論調査2015
自覚性の原則
見落としがちな原則の三つ目は「自覚性」です。
現在行っている(または行わせている)トレーニングにどのような効果があるか理解していた場合、その効果が大きいという原則
先の二原則についてもそうですが、まず「知る」ことは何よりも重要です。経験や勘に基づいた練習方法が結果的に正しい場合も多いからこそ、「何故」その練習をしているのか裏付けを持って言語化できないことも往々にしてあるのではないでしょうか。
無意識に、よく実践できていることも
実は経験に基づいた練習方法と同様に、意識せずとも忍耐力の強いランナーは他の原理・原則を満たしていることが多いです。細かくは言及しませんが過負荷の原理や特異性の原理、継続性の原則などは多くの方が実践できているのではないでしょうか。
コアランナー・ランニングコーチならではの見落としがちなポイントをよく理解し、日々の練習に役立てていくことがとても大切です!
幅広い知識を得てより楽しいランニングを
自身の目標達成に向けたスキルアップや、他者にアドバイスを送る際の責任をより満たすためには、トレーニングやランニングそのものの幅広い知識が必要となってきます。
資格取得は、指導という目的に向けてまとめられた幅広いカリキュラムの講習がセットになるため、総合力の向上にとても良い機会です。
JOTA-ORT は、マラソンやランニングの指導者が得るべき多くの知識や技術を、一つのカリキュラムにまとめています。目指すスキルアップと需要が重なる方は、是非取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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[…] ランニングにおいて「腕振り」が重要なのは、ジョギング・ランニング・マラソン等に取り組んだことがあることなら、体感として理解しやすいかもしれません。トレーニングにおいて重要なのは、それが「何故重要か」を自覚していることです(トレーニングの5原則:自覚性の原則)。 […]